大学図書館員のプロフェッショナル・ディベロップメントとモーテンソン・センター
インターナショナル・プログラムについて、本日お話しする機会があり嬉しく思います。すべての国々の大学図書館には刺激的かつ挑戦的な将来性があります。我々は情報へのよりよいアクセスを提供するための新技術を選択し、実行し、そして管理する方法をすばやくかつ効果的に学ばなければなりません。今日の情報はもはや図書館のような物理的な構造に制限されません。またバーチャル・インフォーメーションへのアクセスを提供する学習は大学にとって重要な教育使命です。同時に従来の図書館資源の利用は引き続き有効であり、これまでのサービスはユーザを支援するために維持されなければなりません。開かれたアクセスと変化する情報環境にある図書館員を支援する重要な方法の一つは、新技術とそれを利用するための技能、そして変化と挑戦の環境で生産的に働く方法に焦点を当てたプロフェッショナル・ディベロップメント・プログラムを提供することです。プロフェッショナル・ディベロップメントについてお話しする前に学術図書館が直面する問題と課題についていくつか注目してみることがご参考になるかと思います。最初にアメリカ合衆国とアフリカの学術図書館に対するいくつかの問題と課題についてお話ししましょう。次に図書館員に対する最近の継続的教育、ならびに実施されているいくつかの挑戦とプログラムについてお話しいたします。最後に、モーテンソン・センターのことをお話ししましょう。
アメリカ合衆国の学術図書館が直面する諸問題
アメリカ図書館協会(ALA)の大学研究図書館協会(ACRL)の特別委員会は、学術図書館が直面する最も重要な問題を明らかにしました。W.L.Hisleによって著された特別委員会報告は2002年に“College
and Research Libraries News”で公表されました。オンラインをも通じて開催された公開フォーラムに参加した図書館員は最も重点的な諸問題を明確に提起しました。それは大学における学術図書館の重要な役割を保持するためにも有効に扱われるに違いありません。
1. 図書館員の採用、教育および定着
優れたリーダーシップを見つけて保持することの必要性は、アメリカ合衆国の学術図書館の将来の中核問題です。退職者の増加により、全体として専門の図書館員になる人数は少なくなっています。とりわけ学術図書館の分野に入る図書館員は人数が少ないのです。デジタル社会における新しい役割、とりわけ教育と図書館促進を含む役割を支援するために、新しい図書館員の教育とある程度の技能と知識を持った既存の図書館員の再教育促進が専門要員化への挑戦となります。低賃金および多様化する専門職の不足は集団的アクションを必要とするもう一つの懸案事項です。
2. 学術的事業での図書館の役割
知的刺激の場所、そしてキャンパスの活動の中心としての学術図書館の重要性と妥当性を維持することに図書館員は専念させられています。図書館が主流から追いやられているのではないかと心配する人もおります。図書館員は自分たちの情報リテラシー指導、および図書館員の教育規範の重要性を強調することが極めて重要であると信じます。情報へのアクセスがますます分散化され、アクセスポイントが集まっているキャンパスでは、現在コンピューター室と図書館が競合しているので、図書館員は図書館が依然学術的な活動の中心であることを大学に実証しなければなりません。
3. 図書館サービスへの情報技術の強い影響力
従来の図書館の資料およびサービスと教育・情報技術部門によって代表されるサービス(それらは時々オーバーラップします)との間で、適切な制度上のバランスを保つ必要があることに図書館員は気づいています。図書館がキャンパスの共有情報を取り込むべきかどうかは一つの疑問です。別の問題は従来の学術的な階層によってではなく、むしろ情報の権威者(information
czar)によって図書館員が報告するべきかどうかです。資源の減少、高騰するコスト、そして組織上の予算の優先順位に対する意見の相違などに直面して、技術的普及を維持することは困難ではありますが更に重要なことです。
4. デジタル資源の生成、コントロールおよび保存
何をデジタル化するかを決め、作業を行う資源を見つけ、デジタル資料に対する適切な書誌調整のメカニズムを開発する方法は複雑な課題であります。さらに図書館員はデジタル資料が適切に保存され、それらの資料への半永久的なアクセスを提供できることを保証したいのです。
5. 学究的なコミュニケーションでの混乱
著作権法が変わるかあるいは再解釈されるにつれて、図書館員は公平で学究的なコミュニケーション・モデルの必要性を主張しています。また、デジタル状況での公正利用に対する挑戦がなされ続けます。従来の図書館と出版者の関係は本質的に変わるかもしれません。少数の大きなベンダーのもとでの情報産業の統合は本質的な脅威です。なぜなら情報の均質化と独占的な商慣行の可能性を示しているからです。学生と教員のような情報探索者の第一選択としてのウェブの台頭は、従来の学究的調査パターンからの逸脱を表わします。情報への将来的なアクセスに対して、情報産業界が明らかにコミットメントしていないことの克服が図書館員にとって今後も続く課題でしょう。
6. 新規ユーザの支援
遠隔教育の学生であれ、新しい教育・学習方法に含まれる学生であれ、図書館員は新規のユーザに適切なサービスおよび資源を提供する必要性をはっきりと主張しています。学術図書館の組織形態は、これらの学生たちの教育スタイルにふさわしい指導や情報へのアクセスを提供することに障害であると思われています。図書館員は学生の強い興味、創造性および技術的手腕に役立ちたいのです。同時に図書館員は、盗作や著作権侵害を黙認するいいかげんな倫理観に加えて、リテラシー能力の全般的かつ成長の不足を学生たちの中に見てとっています。それは学問と研究に対する敬意が一般的に不足していることを示しています。
7. 高等教育における資金調達
経済の現状を考えると図書館員はライブラリー・プログラム、給料、および図書館資源に悪影響をもたらすかもしれない予算縮小の可能性に直面しています。資料と技術のコスト上昇は勿論、現状の図書館員の薄給を補うためには創造的な考えとアクションが要求されるでしょう。「資料のコストが大変急に上昇している時、学生や教員が必要とする情報へのアクセスを図書館はどうやって提供できるか」ということが問われています。さらに図書館員はこのような資源的に厳しい時代にあっても、他の組織団体との競争という課題に直面しなければなりません。
アメリカ合衆国の学術図書館の課題
アメリカ合衆国の多くのライブラリー・リーダーたちがどのような問題を重要な優先事項・重大案件として考えているか、また彼らがどのように時間を過ごしているかといったことについて非公式に調査されました。その結果、明らかになったトピックは、学術図書館員のいくつかの課題についての簡潔な紹介となり、プロフェッショナル・ディベロップメントのニーズについての議論の足がかりとなります。
1. コミュニケーション
図書館員は自分たちの仕事には、いろいろな手段で人々に何かをさせたり考えさせたりするよう導くといったことが多く含まれていることを知っています。優れた連続的なコミュニケーションは、図書館員および図書館利用者に対してのみならず、キャンパス管理者、潜在的な寄贈者および他の利害関係者にも不可欠です。
2. キャンパスとより大きな環境下での図書館のビジビリティー
我々は図書館員が行い、演じることのできる役割への正しい評価を確実にするため、キャンパス中で専門職としての真価や専門的知識およびリーダーシップをプロモートする方法を見つけなければなりません。高等教育の協会、および国や州の決定をする他のグループとのかかわりあいは大変重要です。また情報産業界と仕事をすることは情報への将来のアクセスを確実にするため、図書館員にとっては継続した課題です。
3. 図書館の資金
大学図書館員は今、大学当局、私人、財団および企業から資金を手に入れる活動に相当な時間を費やしています。予算を伸ばし、新しい資金源を見つけることは今日の学術図書館員にとって相当な量の時間を費やします。
4. 図書館サービス改善のための課題
新しい技術と変化するサービスの期待とパターンは、図書館サービスを変えたり改善したりする機会をもたらします。ユーザの期待の変化は、新しい課題に対する図書館のアプローチが敏感で柔軟性があって効果を示すものでなければならないということを意味します。図書館の建物は、ユーザによりよいサービスをするために改善する必要があるかもしれません。計画を立てる時間を見つけて、将来に関して考えることが必要です。
5. 図書館従事者のための肯定的文化
十分な支援サービスと肯定的な文化があることの確保も含め、すべての図書館職員が自分たちの仕事をすることができるように支援することは、変動の風潮にあっては重要です。ある場合には、長期的な組織文化は、新しく出現するユーザとスタッフのニーズを満たすために、変化を余儀なくされる可能性があります。厳しい財政状況下で高い士気を維持することは一つの挑戦にちがいありません。立場がより流動的になるにつれ、すべての図書館職員のためにプロフェッショナル・ディベロップメントとトレーニングの機会を提供することと支援することは不可欠になります。
ガーナ、ナイジェリア、タンザニアおよびウガンダの学術図書館への挑戦
モーテンソン・センター職員はガーナ(Ghana-Legon大学とEducation-Winneba大学)、ナイジェリア(Ahmadu
Bello大学、Obafemi Owolowo大学およびJos大学)、タンザニア(Dar
es Salaam大学)そしてウガンダ(Makerere大学)の大学図書館を訪問して帰国したばかりです。これらの大学図書館はアフリカの大学再生の先例の役目としてニューヨークのカーネギー財団から資金を受け取っています。これらの図書館には直面するいくつかの課題があります。
1. 困難な政治的環境
多くの国々は非常に困難な政治的な時代を通り抜けました。戦争と暴力は国々とそれらの大学を破壊させました。
2. 厳しい物理的環境
熱、ほこり、および湿度が図書館資料の保存を困難にしています。従来の印刷資料はこのような状況では劣化し、保存も困難です。
3. マニュアルの図書館システム
ほとんどの図書館は自動化の初期段階にあり、変換され変更されなければならない多くの手動システムがまだあります。
4. 新しい収集のための資源の不足
図書館資料の収集に対して、新しい資源が不足しています。これらの国の経済状態および弱い通貨が印刷あるいは電子フォーマットにおける現在の図書館資料の購入を非常に困難にしています。多くの新しいジャーナルは寄贈されるか無料で受領しています。本の在庫状況は1990年以前のモノグラフが多く、乏しいのです。
5. 貧弱な設備
資源の不足と天候が図書館に大きな損害を与えております。学生のための十分な座席はなく、ほとんどの学生が図書館資料ではなく記録類を使って勉強しています。資料は保護も保存もすることができません。
6. 不安定なインフラストラクチュア
キャンパスにおける不安定なインフラストラクチュアが技術を使うサービスを届けることに努力を必要とさせています。電力は信頼性が低く、コンピューターが利用可能な場合でも電力の不足により時々使用することができません。
7. 新技術に対する不慣れ
新技術に対する不慣れが時々見受けられます。なぜならスタッフが練習することができず、熟練したユーザになることができないため、それらの技能を教員や学生に譲ってしまっているからです。
8. 図書館資料に対する安全性
図書館資料の安全性はしばしば欠けています。そのため書庫は閉架式となっている場合が多く、資料を貸出する事は許されていません。
9. インターネットアクセス用帯域幅の不足
帯域幅は図書館でのオンライン資源の利用をサポートするために必要なレベルでは利用できません。大学は制限のある帯域幅のために非常に高い料金を払っています。
ガーナ、ナイジェリア、タンザニアおよびウガンダの学術図書館の課題
ガーナ、ナイジェリア、タンザニアおよびウガンダの学術図書館は彼らのサービスと活動を高めるための多くの課題を同時に持っています。
1. 財団
カーネギー財団およびMcArthur財団を含む多くの財団はアフリカの大学およびそれらの図書館に投資しています。コンピューターとオンライン・システムおよびリソースはこれらの投資を利用できる対照項目となっています。資金のうちのいくらかは新しい本、安全システム、関連物品のような、より従来型のものの入手のためにも利用されています。
2. 遡及変換
図書館では遡及変換、バーコード入力、その他の作業を行なうことにより、オンライン・カタログとシステムの準備に取り掛かっています。資料をオンライン形態で利用可能にすることが実現しそうで興奮させられるものがあります。
3. 新技術
資金が許す限り、新技術が提供されています。オンライン資源の最大限の活用のため、図書館員と図書館利用者のためのトレーニング・プログラムが計画されており実行されています。
4. デジタル化
歴史的でユニークな資料のデジタル化が計画されつつあり、いくつかの場所では始められつつあります。図書館員はこれらの資源をより広く利用可能にすることの重要性を理解しています。さらにデジタル化は保存に役立つことができるという期待もあります。
5. 新しい建築
新しい図書館の建築はいくつかの地方で起こっています。一、方スタッフと利用者にとって、スペースをより有効にそして快適にするために、改築もいくつか進められています。
6. インターネット・カフェ
ほとんどの大学は今インターネット・カフェを持っており、それらはキャンパスの学生にとって人気の場所になっています。多くの図書館では研究目的でそれらを必要とする学生や教員のため、オンライン資源にアクセスできるようになっています。
7. 新しいコンピューター室
新しいコンピューター室が造られたり、多くの図書館で計画されたりしています。同時に図書館員はオンライン資源を最大限に活用する方法、特にインターネット上の資源の活用について利用者を訓練する計画を立てています。
8. 電力システムのバックアップ
電力は多くの場所において信頼性が低くなっています。したがって、ソーラー・パネルのような電力システムのバックアップが多くの場所で使用されています。
最近の図書館員の継続的教育
アメリカ合衆国およびアフリカの学術図書館を例として、教育を継続することの必要性をいくつか紹介します。組織再編の動き、変化する技術、そして人口統計の変化などが、大学図書館員のための訓練計画に対して最近関心が起きている主な理由です。技術が学習および学術的コミュニケーションと学問の世界を作り変えており、図書館での仕事を行なうために必要とされる技能および知識は絶えず変化しています。図書館はこれらの問題を管理する際に自分たちの大学に対して、リーダーシップを提供しなければならず、チームワークとシステム全体にわたるグローバルな思考が要求されます。適切なトレーニングはグローバル環境での急速な変化に対処する我々の能力を高めるための一つの方法です。これらの要因は、学術図書館の将来を形作るリーダーたちの新しい波をおこすことに焦点を当てるように多くの図書館管理者を仕向けています。
学術図書館員によって必要とされる訓練のうち、いくつかを以下に示します
1. 情報およびテレコミュニケーション技術
コンピューター・ハードウェアとソフトウェアを評価し使用すること、コンピューターおよび情報概念の理解、システム分析の理解、デジタル化プロジェクトの計画と実行、インターネットによる情報へのアクセスなどがこのトピックスに含まれます。
2. プロジェクト管理
最近の図書館員は新しいテクノロジーおよび新サービスの実行に対処しています。プロジェクトをどのように管理し、計画するかを知ることは現在の環境において不可欠です。
3. 擁護とマーケティング
図書館員は、自分の図書館を擁護し、学内や必要とされる他のエリアにおいて売り込むことができなくてはいけません。図書館の真価、そして教育と研究のための情報の戦略的価値をすべての人が理解しているとは限りません。大学社会の中にだけではなく、政府の政策立案者、そして資金提供者にも図書館員は情報を売り込まなくてはいけません。
4. コミュニケーション
図書館員と図書館は基本的に情報の伝達者です。口頭あるいは非口頭、そして個人間のコミュニケーション能力はすべての図書館員にとって重要です。図書館員は自らの考えを明確に述べて、ユーザと意思疎通をはかり、注意深く聞くことができなければなりません。
5. 様々なコミュニティーへのアウトリーチ
新しいツールは、更なる利用者を図書館へ連れて来る新たな機会を提供します。バーチャル・サービスは離れた利用者や他の人々にも新しい手段で届きます。情報リテラシーはすべての図書館利用者によって必要とされる技能であり、図書館員はこれがすべての学生のためのカリキュラムの一部であることを確実にするために、教員や管理者と一緒に仕事をしなければなりません。
6. チームワーク技術
挑戦と変化の時代に立ち向かうために、今日の図書館スタッフはチームワークを要求されます。効果的に一緒に働くことによって、優れたプログラムと課題へのアプローチを開発することができます。
7. 変化に対するマネジメント
高等教育機関は大変化を経験しており、このような状況で働く図書館員は変化に対するマネジメントに熟達しなければなりません。現在の環境において全職員と図書館を管理するには、リーダーシップの能力は不可欠です。
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ウェブを探索していくと、大学全体のためや図書館スタッフだけのために、多くの大学が独自のスタッフ・ディベロップメント・トレーニング・プログラムを開発していることがわかります。さらに共同の訓練プログラムを開発するためにともに活動している全種類の図書館や学術図書館からなる地域グループもあります。多くの専門図書館の協会もまた、持続的な教育、トレーニングおよびリーダーシップ・プログラムを提供します。
トレーニング・プログラムの多くは、リサーチ、参加者のための資源材料の開発、そして強制ではない協力的な環境のなかで経験したこととそれがもたらしたものによって成人が最大限に学習するのだという合意の上に築かれたアプローチに支えられています。キーとなるリーダーシップと経営理論、コンセプト、方法論、そしてテクニックについて、これらの多くのプログラムにおいて探求され、展開され、そして実行されています。プログラムは現在または近い将来に組織の中で著しい指導的役割をする人々にとってもっともクリティカルな問題や開発に焦点を当てています。カリキュラムは、図書館、高等教育および情報技術界のエキスパートによって計画され、促進されています。
The International Federation of Library Associations
and Institutions Continuing Professional Development and
Workplace Learning Section
国際図書館連盟(IFLA)の継続的プロフェッショナル・ディベロップメントと職場学習のセクションでは、情報部門と図書館の職員の継続的教育プログラムを促進し、進展させるために、さらには適切な活動に焦点をあてるために活動しています。情報源、技術、利用者のニーズ、および図書館および情報サービスの管理における新しい傾向は、教育と再訓練を継続する必要性を強調しています。セクションは、興味のあるものを持ち寄るかあるいは教育を継続するために配送システムを提供することに責任を負っています。 http://www.ifla.org/VII/s43/scpdwl.htm
学術図書館員に利用可能なさまざまなプログラムによって少しのバックグラウンドを提供するためのプロフェッショナル・ディベロップメント・プログラムの例がここにいくつかあります。
The Association of College and Research Libraries
“The Association of College and Research Libraries”は、多くのトレーニング・プログラムを提供するアメリカ図書館協会(ALA)の一部門です。ハーバード・リーダーシップ研究所は、組織の変化を刺激する方法に焦点をあてています。高等教育の問題を提案する主要な方法は古典的なハーバード・ケース・メソッドによります。参加者は、実際の事例研究の文脈内の1セットの質問を読み、よく考えて、取り組みます。何人かの国際的な出席者がおり、2001年のボストンのIFLA会議の前にはある特別な研究所が国際的な参加者として迎えられました。 http://www.ala.org/acrl
The Association of Research Libraries
北米の” The Association of Research Libraries”は、正式な管理経験がほとんどないか、全くない図書館指導者用に設計された“
Library Leadership for New Managers”というプログラムを提供しています。このプログラムはトレーニングし、助成し、そして多くの機関の新しい専門家がネットワークを張り、考えを交換し、彼らの経験から助けとなる能力を身につけたりする学習スペースを設けるという伝統的なOLMSに立脚しています。
プログラムは “Leadership Institute”自体のもの、ウェブ関連コース、そして促進プロジェクトといった三つの異なる学習機会を提供していますが、それらは相互に関連しています。 http://www.arl.org
The Frye Leadership Institute
“The Frye Leadership Institute”は高等教育のための学術情報サービスを導き、伝達するための創造的なリーダーを養成することを試みています。この研究所はEmory大学で行われた集中的な2週間の宿泊研修プログラムです。高等教育を受け、社会的にもセミナーおよびグループプロジェクトでも認められたリーダーが行うプレゼンテーションを通じて、研究所は研究、教えることおよび学究的なコミュニケーションを伝達するために力強く成長しつつある情報技術との密接な関係に注意を払いつつ、変化する高等教育状況及び複雑さから生じるリーダーシップの課題を調査し分析する機会を提供します。図書館と情報資源に関する委員会、EDUCAUSEおよびEmory大学がこの研究所のスポンサーになっています。 http://www.fryeinstitute.org
The UCLA Senior Fellows Program
“The UCLA Senior Fellows Program”(1982年にUCLAで創設)は学術、および研究図書館のリーダーのために設計されています。上級レベルの学術図書館員(彼らは第一人者によって導かれた政策とリーダーシップに基づく経営幹部向けコースに興味を持っている)は応用するように激励されます。プログラムは高度に選択的で、1年当たり15人のフェローに制限されています。プログラムは当初、”Council
on Library Resources, UCLA”、および参加するフェローによって代表される機関の支援によって設立されました。165人以上の学術的な図書館のリーダーがプログラムに参加しました。 http://is.gseis.ucla.edu/seniorfellows/
The Academic and National Library Training Co-operative
“The Academic and National Library Training Co-operative”はアイルランド系のトレーニング組織です。その目標は進行中の協同トレーニング及び開発プログラム計画の基礎を形成する学術、および国立図書館で必要な訓練を明確にすることです。このトレーニングは研究所自身のプログラムを補足し、共同のコンサルテーショングループを通じて合理的なコストでライブラリーと図書館員の適切なグループに広範囲のトレーニングの機会を提示することを狙っています。このプログラムは前のコース上で受け取られたフィードバックおよび図書館員とのコンサルテーションに基づいて拡張して開発されてきました。 http://www.anltc.ie/
Northern Exposure to Leadership Institute
カナダのアルバータ大学にある“Northern
Exposure to Leadership Institute”は動的で精巧な情報環境下で率先的で有効かつ必然的な声であるように専門家を位置付けすることにより図書館専門職の活性化、成長および成功に貢献するように21世紀を目指して働いています。同研究所は専門の図書館員が仲間と指導担当とともにカナダでの5日間の経験的・理論的な学習環境を共有する独自の機会を提供しています。参加者はビジョン、危険負担、創造性、変化、コミュニケーション、実力およびリーダーシップスタイルのようなリーダーシップ概念をもって調査し実験します。これは自己調査、評価および開発の状況内ですべて行われます。 http://www.ls.ualberta.ca/neli/instit.html
The Society of College, National and University
Libraries (SCONUL)
ロンドンにある“The Society of College,
National and University Libraries”(SCONUL)は英国とアイルランドを通じて高等教育と国立図書館で卓越した図書館サービスを推し進めています。SCONULのウェブ・ページは有用なスタッフ開発リンクを提供します。SCONULはスタッフ開発に対するアイディアを発展させることを支援するために賞金を提案しています。賞金は開発イベントや他の図書館、出版者、研究者、あるいは先導する新しい職員との情報交換や訪問を支援しています。
http://www.sconul.ac.uk/activities/staffing/links.html
これらのプロフェッショナル・ディベロップメントおよびリーダーシップ・プログラムはいずれも異なっていますが、ユニークなアプローチを提案しています。プログラムの多くは主として特別の国か地域の図書館員を対象としています。プログラムはすべて研修過程を促進させるような気風造りを目標としています。評価されるプログラムとして考慮される有効な成人研修プログラム中のいくつかの特性を以下に示します。
1. 自発的参加
これらの研修する機会への参加は一般的に強制的ではなく、それでいて人気があります。
2. 目的と評価に関与する研修者
研修者は訓練目標とスタッフの開発目標についてニーズアセスメントおよび構築化にできるだけ関係するべきです。
3. 相互の尊敬の気風
相互尊敬の気風は新しい考えを自由に討議し、議論する場の基礎を築きます。
4. 共有責任の感覚
研修者は他の人々の個人的な経験を利用することができるということから、共通の学習経験の質に対して共有される責任感覚がなければなりません。
5. 個人の発見
成人が希望する知識あるいは技能を身に付け完全に習得するために、研修過程は個人の発見や物事の動向についての理解を比較する機会を含んでいなければなりません。
6. 議論と実行の機会
有効なトレーニング・プログラムは議論と実行の両面に機会を提供しています。
7. 開放的で包容力のある環境
開放的で包容力のある環境でなければなりません。
8. 新人教育
新人教育は我々が学習するほとんどの事を助けます。そして助言者を持つことは仮説を試し、成長し、学習することを継続する優れた方法です。
9. 継続的な学習
プログラムは参加者が学習し、プログラムが終わった後もやる気を持ち続け、研修過程に興味を持ち続けるのを助けるために開発されています。 |
成人は経験、観察および反映、一般化および概念化、実験および統合によって最良に学習します。研修者はエネルギー、熱心さ、および人生経験を研修過程に持ってなければなりません。継続的な教育プログラムは研修者が新しい知識および技能を得られるように内容と構造を提供します。異なる地理的環境および文化的背景を持つ同僚との学習は、21世紀に特に求められるこの上もない次元を提供します。成人がどのように研修するかについて知られている基礎、ならびに学術的な図書館員が必要とする訓練領域に関する国際的なプログラムを開発する一方、モーテンソン・センター
はこの次元を提供しています。
The Mortenson Center for International Library
Programs
モーテンソン・センターはシカゴの約140マイル南のシャンペインとアーバナ両市(人口が併せて約10万)にあります。大学とその周囲の地域社会は変化に富んだ文化的、リクリエーショナル環境を、アメリカ合衆国中西部のコーンと大豆の大草原のなかで提供してくれます。イリノイ州には四季があります。
イリノイ大学は総合大学で、世界的にも高く評価されている公立大学です。150科目以上に亘る学部と大学院があります。80以上のセンター、研究所と理工系の専門学校があり、政府機関、産業、学内各科のために研究を行っています。大学は国と州のために公共サービスも行います。学生は3万8千人おり、教授陣、技術専門家、職員が1万人居ります。2003年度の予算は12億2千4百万ドルでした。イリノイ大学は障害のある学生に大学の全てのサービス、課程と設備を使えるようにした最初の大学です。また、当大学はスーパーコンピュータプリケーション全米本部があり、ハイパーメディア・ブラウザーの“モザイク”の開発者でもあります。学生、教授陣、職員に4万7千超のネットワーク接続を提供し、学生のために3千台のコンピュータ・ワークステーションを提供しています。“The
Illinoi Union”は学生クラブで、訪問者宿泊室、レストラン、レクリエーション設備が整っています。“
The Morrow Plots”には国内最古の実験農業区画と、隣接した学部図書館があり、この図書館は実験農場が日陰にならないよう地下室になっています。
イリノイ大学図書館は1867年に1,039冊の蔵書で発足しました。国内屈指の施設として認められ、科学から人間性諸般に至る分野に強みがあります。世界最大の公立大学蔵書を抱えており、2千2百万件、1千万冊、1千3百万印刷・非印刷資料と9万件以上の定期刊行物、雑誌があります。42の部門別図書館と学部学生のための一つの大きな図書館からなっています。オンライン・カタログは世界中から一週間で百万回以上のアクセスがあります。このカタログでは288の電子的項目見出しがあり、抄録と、一部は全文が参照できます。「Eリザーヴ」というのが科目教材に使えて、いろいろなデジタルプロジェクトがあります。イリノイ大学は少なくとも10の図書館資源共有ネットワークに属していて、予算が2千9百50万ドル(約31億円)あります。500人以上の図書館員と職員がいます。また、コンピューター端末が一般用に250と、職員用に500あります。当図書館は国際図書館協会連盟やその他の国際グループに加盟しています。「The
Grainger Engineering図書館」は最新の図書館建物の一つで、学生に様々な勉学の場を提供しています。
図書館情報学大学院は膨大な知識資源で、国内でしばしば第一位にランクされ、アメリカ合衆国のトップスリーの図書館情報学専門学校の一つであり、一流の教育機関です。モーテンソン・センター会員は図書館学科、学部、資源を利用することが出来ます。
1991年にモーテンソン一族からの二つの贈与により設立されたモーテンソン・センターの国際図書館プログラムは、国際平和、教育、理解の促進のために世界中の図書館と図書館員の国際的絆を強めることを目指しています。ワルター・モーテンソンが雄弁に述べているように、モーテンソン・センターの目標は、“国際的教育、理解、平和を促進する”ことです。発足以来、85カ国から600人以上の図書館員がモーテンソン・センター・プログラムに参加しました。このセンターは様々に異なったプロフェッショナル・ディベロップメントのニーズに応えるように設計された各種のプログラムを、世界中の様々な環境から来られる仲間たちに提供します。当センターはこの分野では世界に一つのものです。
モーテンソン・センターは世界中の85カ国以上からの図書館員を迎え入れてきました。センターはあらゆる種類の図書館・情報センターからの図書館員・情報専門家を歓迎します。即ち一般、および青少年図書館、学校図書館、図書館情報学専門学校、政府図書館、学術研究図書館、企業図書館、国立図書館、医学図書館、農業図書館、法学図書館、公文書館などからの方々です。トレーニング・プログラムのいくつかは特殊なタイプの図書館とか特殊な国向けのものですが、多くのプログラムは広い範囲からの参加者で構成されます。モーテンソン・センターは居住プログラムについては広大なキャンパスを持っているのであらゆる程度の居住サービスの提供ができます。
モーテンソン・センターは種々の資源から資金を受け取ります。イリノイ大学、アメリカ合衆国政府省庁、個人、基金、寄付金などすべてが我々の事業を援助します。センターでは、様々なプログラムを提供します。例えば、独特な個人特化の非学位プログラムであるアソシエイツ・プログラム、セミナーやツアーそして討論会のあるヴィジター・プログラム、国や地域の特殊ニーズに焦点を当てるパートナーシップ・プログラム、国際理解を促進するための講演シリーズなどです。毎秋特別な講演会シリーズがあり、最近では、情報力と知的自由と市民社会に焦点を当てました。
アソシエイツ・プログラムは独特な、個人特化した、非学位プログラムで図書館情報専門家がアメリカ合衆国図書館の最新の業務を学び、世界中から集まるモーテンソン・センター会員に経験を共有する場を提供します。センターはこのプログラムをイリノイ大学に長期滞在できる図書館員に提供します。このプログラムの目的は参加者がアメリカ合衆国の図書館の業務の最新事情を学び、他の参加者と経験を分かち合い、自国の図書館のための新しい戦略を開発するための時間と資源を与えることです。このプログラムの昨秋の参加者はコロンビア、インド、日本、ケニヤ、ナイジェリア、ロシアと南アなどの国々から来られました。
モーテンソン・センターでは、来訪の図書館員に中部アメリカでの生活を紹介しています。主要な学術施設をお見せします。Lincoln
Trail図書館システムという地域の図書館コンソーシアムで、これは巨大なイリノイ大学と共に小さな公立図書館も含んでいます。スプリングフィールドのイリノイ州立図書館や、シカゴの各種の図書館も案内されます。シカゴのアメリカ図書館協会では、スタッフが広い文脈でアメリカ合衆国の図書館の問題を提示してくれます。ある時には近くの農場にお連れして、この地域社会ではどういう生活をし、どのように情報ニーズを満たしているかを学びます。
センターのトレーニング・プログラムは皆、最上の実務研修と多数の専門家と作業設定とに出会えるように焦点が当てられています。参加者をイリノイ大学にお連れして、技術研究室と資源を使うトレーニング、そして巨大かつ重要な大学図書館とそのスタッフに出会い、アメリカ合衆国中から集まった広範囲な図書館員や専門家と交流する時間を作り、各所を訪問して多数の図書館での最新の活動を観察する機会などを作ります。アメリカ国内でのトレーニングでなければ、これほど多数の図書館と専門家とのこの種の広範な交流を提供することは出来ないでしょう。
典型的なモーテンソン・センター プログラム内容
モーテンソン・センター滞在中に大学図書館員は普通、構成プログラムの中で各国の各種の図書館からの国際的な仲間と同席します。上述の(技術、プロジェクト管理、政策提言とマーケティング、コミュニケーション、出先機関、チームワーク、管理変更などのトレーニング項目)に対応するために我々は効果的な社会人向けの研修プログラムを念頭にプログラムを開発しています。モーテンソン・センターは下記の要素を含む総合的プログラムを準備しています。
プレゼンテーションとツアー :
モーテンソン・センターでの参加者は同図書館と提携している図書館と組織からの広範囲なスタッフからのプレゼンテーションを聞きます。ツアーは学校、公共、学術、専門図書館をツアーします。大新聞社シカゴ・トリビューンの専門図書館はしばしばツアーに含まれます。さらに、図書館コンソーシアム組織、書籍販売、そのほかの関連グループも訪問します。
情報と通信技術 :
新技術の概説コースもあります。我々は各参加者の能力と関心に応じてその技量を評価し、また、ウェブ・デザインとデータベース開発のトレーニングも提供します。最近は、参加者の一部が電子図書館の技術のトレーニングを要求しております。工学部のVirtual
Reality Cave、これは情報とアイディアを独特な対話方式で提供する為の高度技術を研究メンバーが訓練して使えるようになった実験研究室ですが、これもプログラムに入れてあります。
訪問とプレゼンテーション :
研修プログラムの間、我々は普通シカゴと首都スプリングフィールドに行きます。シカゴでは、シカゴ公立図書館とアメリカ図書館協会を訪問します。スプリングフィールドでは、我々のパートナーたるイリノイ州立図書館と共同で、州立図書館の役割についてのツアーとセミナーを提供します。参加者が大喜びするリンカーンゆかりの史跡をいくつか含めています。これらの訪問中に、モーテンソン研修参加者は広範囲の図書館員とスタッフとの交流を通して、コミュニケーション技術を磨くことが出来ます。
ホスト・サイト訪問 :
我々は参加者がイリノイのホスト図書館で2−3日を過ごすように予定を組みます。参加者が自国の図書館と同じような図書館で、そこの図書館員と一対一で、図書館の運営管理に関する詳細な質問をすることができます。このような場面で参加者は、社会への関わりや利用者がどのようなサービスを受けられるのかの実例などを学びます。
セミナー :
参加者は下記のようなトピックスのセミナーを毎週受けられます。例えば、アメリカの図書館の紹介、図書館運営、図書館のリーダーシップ、図書館の管理情報技術、図書館の開発、資金収益、プロモーション、マーケティング、政策提言、情報アクセスの問題、身体障害者へのサービス、若年者と高齢者、図書館プログラミング、技術サービス等など。
会議 :
我々は10月にイリノイ図書館協会の会議に出席、参加します。モーテンソン参加者にはこれはイリノイ州から参加する同僚と出会う良い機会であり、最新の技術の展示を参観したり、セミナーに参加して各国の図書館について語り合う良いチャンスです。
トレーナーを養成する :
モーテンソン・プログラムの重要な構成要素は“トレーナーを養成する”という基準です。我々のプログラムを修了した参加者は帰国後その知識を同僚と分かち合うことが期待されます。参加者と長時間そのプレゼンテーション技術を向上させるよう努力しますので、皆がモーテンソン・センターに滞在中にプレゼンテーション技術を磨かなければなりません。世界中の図書館では今大きな変革が行われているので、図書館員はすべてその変革に対応できるよう学び、スタッフがトレーニングを積んで変革に対応するよう助けなければなりません。
モーテンソン・センターの友人、指導担当
:
モーテンソン・プログラム参加者一人一人に、アメリカ人図書館員の指導担当が付きます。このアメリカ人図書館員には、参加者の非公式の時間にも仕事について論議し、興味深い専門的活動について話し合うよう頼んであります。このようなペア方式は、二人の図書館員同士の友情を深め、一緒に社交活動に参加するのです。
グループ・プロジェクト :
参加者は色々なプロジェクトに加わらなければなりません。これらの活動を通してプロジェクト管理とチームとして働くことを学ぶのです。例えば、児童部門でのコンピューターのインターネット利用方針を書かされたり、図書館の新規プログラムを宣伝促進するビラを作らされたりするのです。参加者は様々なプロジェクトの中でグループとして一緒に働き、これが共通の図書館課題を討議する絶好の機会となるのです。モーテンソン・センターでの参加者のグループの間に芽生えた絆が、参加者の帰国後にも自国の図書館の課題を論議するためのコミュニケーションを続けるために強く残るのです。
トレーニングの間、ときにはグループを分けて、個々人がより特化された分野の技能を得られるようにします。例えば、システム部門の人にはネットワーク運営方法習得にもっと時間を割き、また図書館員には図書館での新技術の扱いに焦点を当てさせるなどです。参加者各自の技量のレベルによっては、すべてのトピックスを網羅できないでしょう。我々の目標は個々人が滞在中に新しい技能を修得して帰国後に自分の施設のなかでの挑戦により良く対応できるようにして、送り返すことです。
我々はいつもプログラムの内容を提供するのにトレーニング戦略をいくつか抱き合わせて使います。セミナー、ワークショップ、ハンド・オン(模範演技的)デモンストレーション、コンピューター実験室研修、ツアー、プロフェッショナル・ディベロップメント会議、トレーナー養成講座、イリノイ州の大学図書館での実地トレーニングなどは全てプログラムに含まれます。文化活動もモーテンソン・センター研修の一部です。時には、アメリカの農場や博物館を訪問します。社交活動は地域の他の図書館員との出会いの場です。モーテンソン・センター研修プログラムの各々は修了式があり、修了証が渡されます。
モーテンソン・プログラムの実例
ヴィジターズ・プログラムというのは通常、特定のグループ用に作られた簡便プログラムなのです。モーテンソン・センターは短期ヴィジター(通常は1週間から2週間)として図書館員やその他の国際的な図書館関連活動に従事する人々をイリノイ大学に歓迎します。センターはヴィジターと一緒に彼らのニーズに合ったプログラムを設計します。昨年度の短期ヴィジターはアルメニア、アゼルバイジャン、クロアチア、エクアドル、ドイツ、ホンジュラス、ロシア、ウクライナなどから来ております。
パートナーシップ・プログラムというのは特定の国あるいは特定地域特有のニーズに焦点を合わせて、それらが継続的な教育のための自立拠点を作り上げるのを援助するためのものです。パートナーと一緒に他の国からの図書館員がプロフェッショナル・ディベロップメントの目標に到達するようにプログラムを作り上げるのです。
南アフリカの図書館コミュニティーとの提携関係はモーテンソン・センターの業務の典型的な例です。スタッフが南アフリカを訪問し、図書館専門職の教育プログラムの実施が必要であるかどうか、またモーテンソン・センターがその様なプログラムを展開するために働くべき最適な組織であるかどうかを検証しました。南アフリカの図書館員グループの一つが会議を開き、モーテンソン・センターと共同作業をしたいと決定し、南アフリカ図書館情報協会(LIASA)を統合機関として指定したのです。このグループは当面の最大の課題は中級、上級レベルの図書館管理職のリーダーシップ・トレーニングであると考えたのです。南アフリカの図書館管理職の二つのグループがモーテンソン・センターでトレーニングを受けて帰国してLIASAとその図書館群の活発なリーダーとなったのです。数人の大学図書館員がこのトレーニングに参加しており、このプログラムが南アフリカの大学図書館に戻った後に非常に効果が有ったことを確認しています。我々はメロン財団から、南アフリカの第三のグループがモーテンソン・センター研修に来る為の資金提供を最近受け取りました。
我々の作業の他の実例は2003年の春に完成したプロジェクトに示されています。センターはシベリアからの図書館員、情報技術者、大学管理者のための2週間の教育プログラムを作るよう頼まれました。出資者との検討の後、プログラムが作られ、参加者たちは通訳と一緒にセンターで研修をうけ、大学環境の中でいかに技術を管理、開発、発展させるかについて多くのことを学んだのです。実地旅行、現場訪問がプログラムの重要部分でした。出資者と参加者たちは皆、プログラム期間中、観察し学習したことに大満足でした。
ニューヨークのカーネギー財団の寄付金によって、イリノイ大学モーテンソン・センターは、カーネギー財団の「アフリカにおける高等教育のための協力会議」への協賛の一部として、ガーナ、ナイジェリア、タンザニアおよびウガンダの7大学とその図書館を訪問しました。 この会議は、大学とその図書館を再活性化し、将来の国の指導者と行政官を教育する大学とするという革新的計画を支援するものです。強大な大学と健全な図書館が国の成長に潜在的な力を発揮することは誰もが認めますが、一方、図書館員の更なるプロフェッショナル・ディベロップメントが永続的変化を管理し履行するためには必要であることも明らかです。
モーテンソン・センターからの職員がカーネギー財団からの寄付を受けた7つの大学図書館を訪問し、その将来性を査定しました。調査報告は、利用者の情報への到達容易性(アクセス)に焦点をあて、図書館の資源を、技術的インフラストラクチュア、サービスの提供、蔵書とデータベースの強度とアクセスの容易性、職員の教育トレーニング、利用者への書誌的研修、国際標準の理解、および関連サービスなどの面から査定しました。新技術とその図書館での役割も査定の一部です。この査定報告は、寄付受給者のためのプロフェッショナル・ディベロップメント・プログラムの必要性を評価する第一段階となるでしょう。
2003年12月に、我々は第三次国際リーダーシップ・トレーニング・プログラムを実行しました。コスタリカ大学の“the
Center for Professional Development of Librarians in
Central America”と共同して、図書館管理職のための“International
Leadership Institute in San Jose”を開きました。専門家によって図書館が運営されなければならない状況を説明し、続いてリーダーシップ、交渉、権能の付与、そして図書館協会の役割が、討議されました。数カ国からの参加者があり、豊富な交流が行われました。The
Council on Library and Information Resourcesがこのプログラムを支援しています。2004年5月には第4次のリーダーシップ・トレーニング・プログラムをグアテマラで開きます。
The Council on Library and Information Resourcesからは、他の北米の図書館もモーテンソン・センターのような国際的活動組織を作るように支援する目的の研修制度を作るための資金供与を受けました。トロント大学からの研修生がモーテンソン・センターで我々と一緒に働きました。この研修生はワークショップを開いたり種々のリーダーシップ・トレーニングを行い、プログラムの評価をして改善しました。また、訪れる図書館員のための案内役、教育役を勤め、モーテンソン・センターの職員と共に諸活動の評価を行い、その経験を報告書に書きました。この研修生は我々と南アフリカに同行し、プログラムの参加者と会議に参加しました。その後も我々はトロント大学と共同で国際的活動を続けています。
日本私立大学図書館協会の国際図書館協力委員会との海外派遣研修協定は、もう一つの優れた協力プログラムです。昨年、この私立大学図書館協会がスポンサーとなった初めての日本からの図書館員が、モーテンソン・センターの秋季プログラムに参加しました。次の年も同協会がスポンサーである二人目の日本からの参加者が来られることになっており、喜ばしいことです。
モーテンソン・センター・プログラムの独自性
モーテンソン・センターの国際図書館プログラムは多数の国々からの多種類の図書館の図書館員が参加し、互いに連絡しあう機会となるので、参加者は帰国後にお互いを情報源として利用し合えるのです。広範囲な地理的条件からの多数の仲間との討論と学習が、プロフェッショナル・ディベロップメントの経験を豊かなものにします。お互いを尊敬しあう雰囲気と、教育役、討論、実務経験の機会と個人的啓発で分かち合われた責任感が、継続的な学習の強い基盤となるのです。
モーテンソンの仲間およびイリノイ大学図書館の職員とともに読み、聞き、観察し、話す機会は特に貴重なものです。講義、ツアー、実務訓練計画はすべて形式張らずに、ディスカッションをしながら行われます。参加者はお互いを良く知り合うようになり、気楽に問題を話し合うことが出来ます。参加者はイリノイ大学の優れた図書館を使って、自分の読書、研究をする時間もあります。自分の図書館へ戻ってから使える独自の教材を作ることもでき、モーテンソン・センター職員は、どのようなプロジェクトにも協力と助言を惜しみません。
モーテンソン・センターのプログラムはモーテンソン参加者のグループに合うように企画され、グループの構成と関心事に基づいて様々に変更されます。参加者の特殊課題やプロジェクトについて個々の作業のための時間がとれます。専門的価値、つまりアクセス、知的自由、政策提言などがモーテンソン・プログラムの核心部分です。我々図書館員を世界的に結ぶ様々な問題点が、理論的また実務的な方法で討議されます。
多数の図書館を訪問し、広範囲な図書館員との交流はこのプログラムを非常に豊かなものにします。参加者の変化に富んだ経歴と背景が、豊富なそして変化に富んだ交流を生みます。モーテンソン・センターのプログラムは地球的背景の諸問題を提示してくれるのです。個人が自己の文化と国を超越して思考することが革新的アイディアに導くのです。世界の一部分での問題解決が世界のその他の部分に応用されるのです。地球的(規模の)背景ということが、図書館が創意に富んだ方法で将来に突き進むのを助けるための地球規模の解決に導くのです。イリノイ大学およびイリノイ州の図書館員はモーテンソン・センターでの外国の図書館員との国際的な交流で多くのことを学びました。モーテンソン・センターについては次のホームページで詳しく知ることができます。 http://www.library.uiuc.edu/mortenson
大学図書館は強固で良く教育された職員によってのみ高等教育の効果的なパートナーたり得るのです。我々は日本私立大学図書館協会に対してモーテンソン・センターへのご支持を感謝いたします。昨秋我々とご一緒された成城大学図書館の鷹尾道代さんはこのプログラムにとって素晴らしい参加者でした。中央大学の梅澤貴典さんが9月に来られるのを歓迎し、また日本私立大学図書館協会との末永い協調関係を楽しみにしています。
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