10巻1号 通巻82号 1995年7月3日 発行: 私立大学図書館協会 東地区部会研究部 企画広報分科会 |
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図書館の広報グッズといったら何を思い浮かべるだろうか?ポスター、掲示用紙、パンフレットといったところか。アメリカ図書館協会(ALA)の図書館広報グッズカタログ「ALA Graphics」を見ていると、これまで図書館広報に抱いていたイメージがいかに狭いものであったかがよくわかる。最新版の31ページにもおよぶカタログの中には、有名な俳優、歌手、スポーツ選手などを起用している一連の”READ”ポスターもあれば、カラフルなしおり、鉛筆、手提げ袋、Tシャツ、帽子、キーホルダー、マグカップはてはイヤリング、ブレスレットまで掲載されている。いかに図書館を生活に根づかせようとしているかが窺える。
日本でも今春から日本図書館協会(JLA)が広報グッズの制作・領布にのりだした。これは本分科会が11年間続けてきた「ポスター、しおり等の共同制作」が発展し、このほど私立大学図書館協会からJLAへ移管されたことによる。制作物はポスター、掲示用紙、しおりがそれぞれ2種類ずつ計6アイテム。安野光雄氏、コーチ・はじめ氏の手によるものである。制作種類数ではまだまだALAには比べるべくもないが、今後の進展に大いに期待したいところである。
Gentlemen: please send me one copy of "ALA Graphics". Your faithfully. (署名) |
address American Library Association 50 East Huron Street Chicago,Illinois 60611 U.S.A | fax番号 (たとえばKDDを使うなら) 001-312-836-9958 |
なかじ君 〜のらりくらり閲覧係をやってる〜 おた君 〜閲覧がやりたい整理係〜 |
図書館員の対応は悪いか
おた: | きみんとこでも図書館員の態度が悪いっていう投書がくるかい? |
なかじ: | くるよ。カウンターのオバさんの態度が悪いとか。オレだってオバさん怖いもん。 |
おた: | 応対の態度が悪いっていうけど、具体的にどこが悪いのかね? |
なかじ: | 分科会の各館から応接態度に関する投書を集めてみました↓。これはその一部。 |
・図書館の係員の人で不親切でえらそうな態度をとる人がいる。親切な人ももちろんいるが、それだからこそ親切でない人がういてみえる。何か質問しても、いやそうに答えたり、めんどくさそうにするのは良くないと思う。 ・私は、最近図書館を利用しはじめた者ですがカウンターの人の対応が非常に悪くて驚いています。忙しいのは分かるのですが、声を2、3度かけても無視されたり、請求記号の記入を間違えただけで嫌味を言われたりと、非常に気分の悪い対応をされました。 ・この施設の管理が目的なのか。情報に関するサービスが目的なのか考えてほしい。事務員の官僚的な対応には本当に4年間うんざりした。 ・職員の方々の話し声がかなり大きく館内に響き渡っていることがよくあります。 ・書庫は図書館員の井戸端会議の場所なのでしょうか。 |
図書館員はどう思っているのか
おた: | 僕は図書館員は接客業だという側面があると思うんだ。聞いてみると、ほとんどの図書館員は接客の心構えは必要だと思ってるみたいなんだよね。 |
なかじ: | 接客の心得って何なんだよ。 |
おた: | アンケート「図書館員88人に聞きました」分科会で「接客・応接態度」についての意識調査をしました↓。これは、その一部。 |
・図書館員に接客業の心得は必要だと思いますか?
・上の設問で、接客業の心得と言った時、あなたが思い浮かべたことは?(複数回答可)
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「気にしている」ことと「気にされている」こと
なかじ: | このアンケート結果だと、図書館員は「話し方」とか「言葉づかい」とかが接客のポイントだって思ってるみたいだけど、職員どうしのおしゃべりのことなんか出てこないじゃない。 |
おた: | うん。投書で指摘されていることと、図書館員が意識していることとは多少ズレがあるみたいだよね。 |
なかじ: | オバさんのおしゃべりっていうのはウチも確かにあるなぁ。 |
おた: | 官僚的態度っていうのは、話し方とか言葉づかい以前の問題だよね。 |
なかじ: | まぁ、大学図書館ってとこは、利用者のほとんどが学生と教職員だからね。学生は見下し、教員にへつらう、っていう傾向が確かにあるよ。 |
おた: | 学生に対して「教育的」指導が必要だっていう図書館員もいるし。専門知識が一番だと思ってる人もいる。 |
なかじ: | まぁ、言葉づかいをよくすりゃ解決って感じはオレはしないけど。 |
世間では接客の研修をしている
おた: | 接客態度っていえば、国鉄が民営化されてJRになった時、職員の対応が変わったと話題になったよね。その後は、公務員もデパートで接客の研修をしたりしている。 |
なかじ: | まぁ、以前はお役所とか病院には、やってもらうのだから対応が悪くてもしかたないというあきらめがあったなぁ。 |
おた: | 今は公共のサービスに対する世間の意識も変化しているんだろうね。公共機関自身も対応を模索しているみたいだ。 |
おた: | ころごろは、公務員も接客の研修に積極的です。 |
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接客は問題になっている
おた: | こないだ新聞に市立図書館の放火の話が出てたけど、犯人は「図書館員の態度が気に入らなかったから仕返ししてやろうと思った。」と言っているらしい。 |
なかじ: | 放火されれば、当分仕事に行かなくてもいいかな。 |
おた: | バカいえ。後始末の方が大変だぞ。 |
なかじ: | その時はボランティアに来てよ。 |
なかじ: | 接客態度って、けっこう問題になってるみたい。 |
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大学開放の傾向
おた: | 大学図書館を開放してほしいっていう地域の動きもあるようね。 |
なかじ: | うちにもそういう話がきてるらしいけど、これ以上利用者が増えたらやってられないよ。 |
おた: | 生涯教育も盛んだし、僕の大学でも公開講座をやっている。 |
なかじ: | 筑波大学とか、学生が教員や授業を評価するらしいね。教員も接客態度が悪いなんて言われるのかな。 |
図書館員には接客の研修がない
おた: | 話は戻るけど、図書館で研修っていうと、図書館学関係かコンピュータ関係のになっちゃって。パブリック・サービスの研修はないよね。 |
なかじ: | 俺達も、デパートに行って、頭の下げ方の角度を練習してくるようになるのか? |
おた: | したっていいじゃないか。でも、当面のところないから、自分でできる範囲の改善法のことをしたらどうかと思うんだ。 |
なかじ: | 接客の研究なんてあるの?頭の下げ方の研究するのか? |
おた: | 接客っていうのは、結局ひとつ一つがプレゼンテーションの基本の積み重ねだと思うんだよね。だから、プレゼンテーションの基本を勉強するっていうのも有力な勉強法だと思うんだよ。 |
なかじ: | プレゼンテーションねぇ? |
おた: | カッコ内は3つの要因が影響する割合です。この本の著者によると、話の中身より話し手の印象の方が、聞き手にずっと大きな影響を与えるようです。 |
・プレゼンテーションにおいて、信頼を得るための3つの要因
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良い関係を作っていく
おた: | 接客も、コミュニケーションを通して、利用者と良い関係を作っていく広報活動の手段なんだから、他人事じゃなく考える時期にきているんだよ。 |
なかじ: | よし、きみが頭の下げ方の練習する時、よろこんで練習台になってやるよ! |