慶應義塾大学
 三田メディアセンター
 事務長  加藤 好郎
 
 

   営利、非営利関係なく、組織を動かすためには、「もの」「ひと」「かね」が必要です。大学図書館でもそのことは同様です。これら3つのなかで、皆さんが今日からでも取り組むことができるのは「ひと」です。管理職であれば、「ひと」を育てる、一般職であれば自己開発、専任であれば専門職を目指し、嘱託であれば将来の図書館員としての布石を打ち、業務委託であれば誰でもできる仕事を余人に変え難いレベルの仕事にかえる、などのことです。当分科会は、まさにそれぞれに共通する「ひと」を大事にしている分科会です。
 朝起きて、「今日はあれと、これと、そうだあれもやろう」と張り切って出かけるひと、「今日は、お昼は何を食べようかな」と特段目的もなく普段どおり出かけるひと、「今日も退屈な仕事か、あの上司の顔をみるのもヤダナー」と出かけたくないひとなど様々です。では、何故のそのような違いがでるのでしょう。原因はひとつです。仕事に対して、モチベーションがもてるかもてないかの差です。つまり、少しオーバーな言い方をすれば、自分が生まれてきて、やがて死ぬことにその意味を見出せるか見いだせないかです。当分科会の修了者は、修了時にはすべてのひとがモチベーションを持ち、自信を持っておのおのの大学に戻っていくと自負しています。何故、そのことが可能になるのでしょうか。それは、仕事に「夢」を持つことが出来たからです。
 私が、職業人としてあるいは図書館員(専門職)として、求めているのは「知識」「技能」「感性」です。知識、技能は日々の業務のなかで習得できるかもしれません。しかしながら、一番大事なことは図書館員としての「感性」を身につけることです。そのことは、到底一人では出来ません。問題点や価値観を共有できる多くの人との出会い、あるいは多くの経験の積み重ねによって、それぞれが生きがいを持ち感性豊かに仕事をすることで、活き活きと生活することにつながるのです。仕事への取り組みは、あくまでも「All for One, One for All」です。
 当分科会の最初の1年は「知識」「技能」の修得をしてもらい、2年目には、究極の図書館専門職である図書館長(あるいは事務長)への布石として「感性:大学図書館の管理運営に関するノウハウ」を身につけてもらいます。そのことは、今後の日本の大学図書館の発展に向かって、観念主義から現実主義への移行を意味し、「Think Global, Act Local」世界を見据え、足元を固めた政策立案とその実施の際の判断、全身全霊で行う「決断」を可能にすることを意味します。
 

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