日時 : 2003年6月20日(金)12:30〜13:45
場所 : 名城大学 天白キャンパス タワー75・1307会議室
出席 : 43校 館長43名(会長校 早稲田大学含む) オブザーバー6名
開会のことば : 当番校 名城大学附属図書館 情報管理課主幹 丹羽 眞吾
開会の挨拶 : 部会長校 南山大学図書館 館長
大森 正樹
進行役に南山大学図書館大森正樹館長を選出し、「館長懇話会レジュメ」にもとづき説明、進行が行われた。
1).「館長懇話会」趣旨説明
大学経営の厳しさがそのまま図書館運営にも反映し、図書館長の指導力の重要性が増している。各大学の図書館長が、一同に集うことで親睦を深めつつ情報交換を行い、将来の図書館運営や相互協力について話し合う機会を設け、各諸問題の解決をしていきたい。
2).西地区部会の「館長懇話会」の開催(年1回予定)についてのアンケート結果について
事前アンケート[ 回収率85%(189校/223校)]では、63%の賛成を得られた。
3).話題:<加盟館から提供>
(進行)
図書館の近未来像の検討に関する動向について。 <大阪経済大学>
(大阪経済大学より補足説明)
どのように図書館の運営を進め、どうしたら学生・教員・社会に貢献できる図書館にできるか。
その青写真がなくては動きがとれない。全体の組織見直しを兼ね、特別の委員会「図書館近未来像検討委員会」の設置を決め、図書館の改革を進めようと考えている。研究所が二ヶ所(日本経済研究所・中小企業経営研究所)、情報処理センター、視聴覚センターがあり、それぞれ独立した事務部門を持っているが、図書館の立場からの運営問題として合理的な事務を行うため、他センターとの係わりに組織的改革を図りたいと考えている。図書館コンソーシアムが、大阪の一部地域で進んでいる。各大学での組織の統廃合の状況を聞きたい。
(進行)
図書館・情報関係の組織統合について将来を考えて歩み出しているところは。
(愛知工業大学)
委員会のメンバーは、どのように構成しているのか。
(大阪経済大学)
まだ検討中ではあるが、図書館運営委員会(各学部から選出)に、新たに大学院、情報処理センター、各研究所から選出してもらう予定。
(進行)
組織全体の見直しについては、全学的な委員会とする考え方なのか。
(大阪経済大学)
学長は全学的な立場の考えではあるが、図書館のあり方と情報関係の組織を中心とした考えでいきたい。事務部門をこの際一元化できればという気持ちが強い。
(佛教大学)
研究所が四ヶ所(総合研究所・心理研究所・福祉研究所・情報研究所)あるが、図書館との統合の傾向にある。課題の中に、研究班の解散後の資料の所在をどうするのかがある。現在は、閲覧はできずに、所蔵しているというだけになっている。他大学では、研究資料の再利用をどのようにしているのか聞きたい。
(進行)
各大学についても情報関係組織の事務を一括したいという考えがある。各々の方法を取ってはいるが、どちらも似た状況でまだまだ模索中である。
(進行)
書庫の狭隘化対策と電子媒体資料収集の合理化対策の現状について <大阪経済大学>
(大阪経済大学より補足説明)
書庫新設は財政的に無理な状況で、対処法として、資産性図書と消耗品図書の購入内容を検討し、消耗品図書を増やしていくなど予算配分の提案をしている。CD-ROMや電子図書に切り替えるにも、価格が高く、今後の維持管理についても考えてしまう。資料の廃棄方法等も含めて、他大学図書館ではどのような工夫をされているのか実状を知りたい。総会資料の中にある研究についても詳しく聞きたい。
(甲南大学)
理事長、学長は、図書館(書庫)を当分つくらない方針。退官される先生が購入した研究図書について、必要性を各先生方に決めてもらい、現在50%の本を除籍している。大事なものについては各研究所で保管をお願いしている。これにより、今後10年は可能なスペースができている。以前、中国に本を送っていたが、輸送費が高く、止めてしまった。
(早稲田大学)
退官される先生から返却本の寄贈があり、所蔵に重複がでるため、その調整が大変であった。4月より紀伊国屋書店と提携し、発注から受入、目録作成、整理までの業務を委託しており、新刊だけでなく寄贈(返却)本も重複が判別できている。しかし、重複してしまった本は海外の協定大学へ輸送費を負担してもらえる場合、そちらへ送っている。
(進行)
電子媒体への切り替え状況はどのようか。
(朝日大学)
本館・分館と図書館があり、一元化を考えたがわかれたままである。年々本は増加しており、毎年除籍処理を行っている。海外に必要なところがあれば、送りたいと考えている。電子化については、冊子を電子ジャーナルに切り替えつつあるが高くついている。本来図書館は勉強、研究の場であり、図書を手にとって見るところと考えている。結局、電子ジャーナルもプリントしてみたりしている。「図書館」という名が消えつつあり、情報センターなどと名称も変わってきている。大学は、新しい時代へと「総合メディアセンター化」を考えているようであるが、「情報センター」となってどういうことになるのかと思う。開館時間は20時まで。学生は開館の延長を希望している。
(進行)
海外に送っているところは。協会でも搬送事業を行っている。
(事務局)
搬送事業について。 総会資料p.34,p.46を参照。
搬送先は、協会(国際図書館協力委員会)においても探している。英文のホームページを作成し、広報している。費用は、協会の国際図書館協力基金特別会計から出ている。
(大阪経済大学)
中国の提携大学へ送ったが、かなりの費用がかかっている。協会の事業も活用したい。
(大阪国際大学)
リストを送り、その中からピックアップしてもらう形で、除籍図書を送っている。要望が多いのは、雑誌のバックナンバー。中国へは、(財)日本科学協会から送っている。国内のクロネコヤマトの基地まで着払いで、その先は協会が負担してくれる。モンゴルへは直送しているが、助成してくれる協賛企業がある。
(進行)
各大学、いろいろなところを通じて図書を送られている。開館時間の延長についてはどうか。
(中京大学)
4月より一部市民にも開放し、開館時間を22時まで(従来20時)と二時間の延長をした。知れ渡ってきた5月ごろからは毎日200名ぐらいと利用者が増えた。しかし、それに伴う職員の勤務体制の割り振りが課題としてある。
(京都ノートルダム女子大学)
2002年4月より開館時間を21時20分までに、勤務は21時45分までとなり、スタッフの勤務時間が問題となったが、現在、派遣社員とのローテーションで行っている。今のところクレームはない。院生のために開館をしているのだが、その時間は授業にあたっている。その矛盾に学部生にクラブ活動後の図書館の利用をアピールしている。
(朝日大学)
中京大学へ質問。アウトソーシングの利用はあるのか。
(中京大学)
一日交替で、アウトソーシング職員男性2名、他に院生のアルバイトをお願いしている。
(大同工業大学)
授業は21時10分まで、図書館開館は21時30分まで。職員勤務をローテーション午前、午後と二部体制に。13時から21時の勤務を丸善からのアウトソーシング職員女性1名に、足りないところは学生に手伝ってもらっている。
(進行)
南山大学でも開館時間の延長を検討中である。電子媒体の活用についてはどうか。
(愛知工業大学)
図書館という名前が変わりつつある。これからの図書館は、情報機能を十分に発揮しなければならない。
(甲南女子大学)
図書の予算は減っているし、海外の雑誌は高騰している。そのため、価格の安価な電子ジャーナルへの変更が進んでいる。図書館と独立してメディアセンターがある。図書に映像のついているものはメディアセンターにあるということがわかる状況になっているので、学生には好評を得ている。だが、これらを一緒にしてはどうかとの話があるが未定のまま。
(大同工業大学)
電子ジャーナル化では、洋雑誌の値上がりが困る。300タイトルを購入しているが、年間8〜10%の値上がり。雑誌購入をカットし、図書費用から捻出して入れていたが継続が難しい。東海地区で、3〜校ではじめているが、雑誌購読からBritish
Library のInsidewebを取り入れる傾向にある。2万タイトルのジャーナルを費用100万円で見られる。現在丸善のトライアルをしているが、今後の利用については、教員の返事により調整を行うことにする。ある大学では、6000万の費用が500万になり、インサイドウェブに切り替えて好評だったと聞いている。SPARCのシステムも興味深い。
(九州国際大学)
電子ジャーナル化について、九州地区の協議会では国公私立大学・短期大学の総合問題として取り上げた。佐賀医科大学から、電子ジャーナルの活用によるコンソーシアムを検討があった。各大学に事情がいろいろとあるため、地域コンソーシアム形成の承合事項に出てはいたが、積極的に参加できるところは、各大学の持つデータを相互に公開していこうということになった。
(進行)
電子ジャーナルの使用は、文科系・理工系では雑誌の需要量が違い、事情も異なるので、大学により傾向は変わるであろう。その他、質問、言っておきたいことがあればお願いしたい。
(大阪経済大学)
アフガンやイラクなど戦災被害をうけた大学等に図書を寄贈する活動を進めたい。可能な限り、図書を送っていきたい。「略奪した文化:戦争と図書(岩波)」の紹介。
(進行)
今後のこの「館長懇話会」のあり方について
(大阪経済大学)
事前アンケートでの反対意見について詳しく知りたい。
(事務局)
反対意見としては、「館長よりも事務長懇話会を構成して、成果を見極めてからがよい」、「授業を休講にしなくてはならないし、研究が阻害される」、「各大学の規模はまちまちであるし、西地区部会として共有できるもの、共通問題の設定はできない」、「館長の在任期間が短く、事情をよくのみこむことができないので、形式的な参加にしかならない」というものがあった。
(大阪経済大学)
積極的な反対意見ではなく、会議の進め方についての意見なので、基本的には館長懇話会を開くことに異論はない。進め方に工夫をし、ぜひ二回目も開催して欲しい。
(早稲田大学)
東地区部会では今後、館長・事務長会議を止めてはどうかとの提案がある。「学長クラスの講演会を開いての会議なので、予算が40万かかる」など、他にもいくつかの理由はあるが止める方向にあり、館長懇話会の一本にしてはと検討している。
(進行)
改めて、出席者の皆さんに問題点等のアドバイスをいただきたい。
今回のような機会を設けて、意見交換が出来たことはよかったことと思う。
以下の事前に提案いただいた項目については、時間の都合で話し合いがもたれなかった。
* 図書館文化活動の活性化の現状と相互協力の可能性について(大阪経済大学)
* 学外の「図書関係(文芸関係)サークル」 との関わり方 (東海女子大学・東海女子短期大学)