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 「京都地区協議会の沿革」は、昭和49年4月、当時龍谷大学図書館に勤務されていた故堤玄立氏が執筆されたもので、その「あとがき」によれば、私立大学図書館協会の協会史編さんにたずさわることになったのを機に筆を執られたとのことです。
 本ホームページで公開することについては、現龍谷大学図書館様の「記述内容に個人的な部分はなく、公開しても問題ない」とのご判断に従わせていただきました。
 なお、別表「京都部会、京都地区協議会の概要」(「あとがき」からリンク)の中には不明部分がありますが、この公開を機に埋められることを期待したいと思います。
ホームページ委員より

私立大学図書館協会西地区部会京都地区協議会の沿革

昭和49年4月 龍谷大学図書館 堤 玄立

 昭和5年6月に創設された東京私立大学図書館協議会は、同12年7月5日、明治大学において臨時総会を開き、関西に所在する私立大学図書館に呼びかけて全国的な組織をつくることを決議した。当時、関西には7大学があったが、この決議に応えて同志社大学・高野山大学・龍谷大学が直ちに参加の意を表したので、翌13年5月6・7の両日、慶応義塾大学において全国私立大学図書館協議会の第1回大会を開催した。この大会において承認された規約は次の通りである。

全国私立大学図書館協議会規約
第一条本会ヲ全国私立大学図書館協議会ト称ス
第二条本会ハ全国私立大学図書館ヲ以テ組織シ図書館ニ関スル事項ヲ研究シ之ガ改善発達ニ資スルヲ目的トス
第三条本会ハ毎年大会ヲ東京ニ於テ開催シ会場ハ各私立大学図書館輪番ニテ幹旋ス
但シ四回目毎ニ関西ニ於テ開催ス
第四条本会ハ分会トシテ東京並ニ関西毎ニ開催スルコトヲ得
但シ分会開催ノ節ハ相互ニ連絡ヲ図ルベシ
第五条会費ハ一館ニ付年額金拾円トス
第六条本会ニ常任理事二名(東京一名、関西一名)輪番理事及常任監事各一名ヲ置キ会務ヲ処理ス
常任理事及監事ノ任期ハ二箇年トス 但シ重任スルコトヲ得
輪番理事ハ会場ニ当ル図書館ヲ以テ之ニ充ツ
第七条協議会出席者ハ館長又ハ主任者中一名トシ必要アラバ他ニ一名出席スルヲ得
但シ本会ノ票決権ハ各図書館ニ付一票トス

 この協議会の創設にあたって、京都側で奔走されたのが、同志社大学の小野則秋氏、龍谷大学の故鷹野香象氏であった。
 その後、昭和16年に関西大学と関西学院大学が、同17年に立命館大学が、そして翌18年に大谷大学が加盟して、当時の関西所在の全大学の参加をみたわけである。
 昭和18年5月19・20日に中央大学で開かれた第6回大会において、協議会を「私立大学図書館協会」と改称することになり、規 約が改正された。すなわち、

私立大学図書館協会規約
第一条本会ハ私立大学図書館協会ト称シ事務所ヲ常任理事校タル図書館ニ置ク
第二条本会ハ私立大学図書館ヲ以テ組織シ大学図書館ニ関スル事項ヲ調査研究シ之ガ改善発達ニ資スルヲ以テ目的トス
第三条本会ノ総会ハ毎年一回輪番ニテ之ヲ開催ス
但シ三年毎ニ関西ニ於テ開催ス
第四条本会ハ東京並ニ関西別ニ部会ヲ開催スルコトヲ得
但シ部会開催ノ場合ハ相互ニ連絡ヲ図ルモノトス
第五条本会ノ年会費ハ一箇年ニ付金拾円トス
但シ総会費ハ別ニ之ヲ定ム
第六条本会ニ理事三名ヲ置キ会務ヲ処理ス
理事ハ総会ニ於テ決定ス 常任理事一名ハ理事ノ互選トシ本会ヲ代表ス
理事ノ任期ハ二箇年トス 但シ重任スルコトヲ得
第七条本会ノ総会出席者ハ館長又ハ代表者トシ場合ニヨリ他ニ一名出席セシムルコトヲ得
というものである。

 昭和18年11月15日、同志社大学において京都の加盟館が「私立大学図書館協会京都懇談会」を開き、爾後、京都部会と称することを申しあわせ、同志社・龍谷・立命館・大谷の順で輪番に部会を催すこととなった。(第2回・第3回の記録は散逸して不明)。
 協会は、昭和18年の第6回総会以後、戦争が苛烈になったため、総会を開催することができなかったが、昭和21年7月12.13日、協会の再建を図るべく、高野山大学を会場として第7回の総会を開催した。
 京都部会は、昭和21年10月29日、大谷大学において第4回を開き、「市内私大図書館員連合親睦会」を催すことを協議し、11月 17日宝塚でこれを開催した。第7回部会(昭和22年10月9日、於立命館大学)で親睦会について協議して「京都私大図書館懇親会規約案」を起草し、懇親会の経費は京都部会から支弁することが了承された。この年は10月26日奈良で懇親会を行い、その席上で規約が承認された。(この懇親会は、京都部会懇親会と呼ばれるようになり、一時、総会とも称したが、研修大会として今に至る)
 第12回部会(昭和23年12月1日、於大谷大学)で関西部会を発足させることを議し、第13回部会(昭和24年4月14日、於同志社大学)で関西部会の開催に関して打合わせたが、この席で関西部会発足後の京都部会のあり方が論じられ、小部会として今後も存続させることに決した。(関西部会は昭和24年6月3日に関西大学で第1回を開いた)
 昭和28年11月、協会の第14回総会において会則の改正が行われ、その第十七条に「研究会は本会の加盟図書館員で構成して各部会 内にこれを置き、本会の目的達成に必要な調査研究を行う。研究会についての細則は各部会毎に別に定める」と定められたが、これをいかに具体化するかに関して、第26回京都部会(昭和29年10月25日、於大谷大学)において、現在関西部会には研究会はないが、まず京都部会としてはいかに考えるかについて議された。そして、京都部会に研究会的性格を持たせてはどうかが論じられ、京都部会懇親会に代って京都部会研究会を発足させることになり、第27回京都部会(昭和30年5月31日、於龍谷大学)では、協議題として、
  1. 私大京都部会懇親会に代って発足する研究会の運営について
  2. 京都部会研究会の開催方法について
が提出された。その後、第28・29・30回の部会において具体案の検討を重ねたが、第31回京都部会(昭和32年10月3日、於花園大学)に「私立大学図書館協会京都部会内規案」が提出された。その原案は、

第一条本会は私立大学図書館協会京都部会と称し事務所を幹事校の図書館に置く。
第二条本会は京都の私立大学図書館で組織する。
第三条本会は大学図書館に関する調査研究を行い、その改善、発達並に親睦をはかることを目的とする。
第四条本会は前条の目的を達成するために左の機関を置く。
     一、部会  二、総会  三、研究会
 (以下省略)

というものであったが、第二条を「本会は私立大学図書館協会の下部組織として同協会に加盟する京都地区(天理大学を含む)の私立大学図書館で組織する」、第四条の「左の機関を置く」を「左の行事を行う」と修正し、「一、部会」を「一、協議会」と改めた。
 (注) 従来の「部会」を「協議会」と名づけ、「部会懇親会」を「総会」と称することになったのである。

また、原案の第八条に「短期大学は準会員として・・・」という項があったが、「附則」を、

本会の諸行事には短期大学を準会員として参加させることができる。この場合、当番校に参加会費として実費を納入すること。
本内規は昭和三十二年四月一日から実施する。
本内規の改正は協議会で決定する。

と定めて、昭和32年4月1日にさかのぼり実施することに決した。
 (注) 従来、京都部会に短期大学をオブザーバーとして案内していたことによる。

 しかしながら、この頃、関西部会の役員会では協会会則第一七条にもとづき関西部会の研究会を各地区別に組織したい意向をもっていたので、その線に沿って京都部会のあり方を検討する必要にせまられ、第32回協議会(前掲の京都部会内規による)を昭和33年5月7日に同志社大学で開催し、「私立大学図書館協会関西部会京都地区研究会細則(案)」が提案された。この細則(案)は京都部会内規をもとにして手を加えたものであるが、第二条の組織構成員を「私立大学図書館」ではなく「私立大学図書館の館員」と改め、第四条の「一、協議会 二、総会 三、研究会」を「一、研究会 二、協議会 三、研修大会」としたのであった。この細則は昭和33年5月17日の関西部会において決定をみたのである。
 これによって、京都部会は解消したことになるが、地区研究会の運営においては、協議会は協会加盟の各図書館の代表者による館を単位としたものとして行われ、回次は京都部会を継承することとなった。(新しい京都地区研究会の発足に伴い、協議会等のあり方について、第35・36回協議会で種々論じられたが結論的には上記のような形となった。なお、昭和48年7月の協会会則の改正により、協議会が研究会と別に制度化されたのである)

あとがき
 たまたま、私立大学図書館協会の協会史編さんの仕事にたずさわることになったので、この機会に京都地区の協議会に関するあらましを記したまでであるが、不備な点が多いのでご叱正をまつ。なお、別表の京都部会、京都地区協議会の概要は協会創立30周年である昭和44年度までにとどめた。